本格的な寒さとなり、事務所(イコロハウス裏)では昨晩よりとうとうストーブがつきました。日中は、陽射しがあれば外の方が断然暖かく、イコロハウス内はオールシーズン、やや冷えております。夏は、「あ、すずしい」とガーデン散策から帰ってきた方の声が聞こえることも多いです。
そんな、イコロハウスから眺める秋の庭は、室内の冷えと相反し、オレンジ色のあたたかみのある風景です。モミジの紅葉もピーク。地面には落ち葉の絨毯ができています。園路上の落ち葉でさえ、「踏んでしまうのがかわいそう」とお客さんも言っておりました。
落ち葉の間からのぞくフッキソウの緑も良い感じ。このままにしておくと、春に残念なことになるので、積雪前にそうじをしなくてはいけませんが、しばらくこのまま楽しみましょう。このように木から落ちてからの姿もよいですねえ。桜が散って、川面を流れる風景もそうですが、こういうのに何かしら感じるというのは、日本人的なのかもしれんと思います。留学中、落ち葉の写真を撮っていたら、「日本人は‘死んだ葉っぱ’(Dead Leaves)が好きだな」と言われたのを思い出します。まあ、イギリス人も「Autumn Colour(秋の紅葉)」は楽しんでいましたので、ちょっとしたユーモアなのでしょう。話しはそれますが、作業中に何かが木から落ちた音がしたことがあって、その時の現場のボス(その名もミスター・ビーン)が「Squirrel’s suicide.(リスの自殺だ。)」とつぶやいたのもおもしろかったです。イギリスだなあ。。。
PLANT OF THE DAY 44
Aconitum carmichaelii ‘Arendsii’ アコニツム カルミカエリイ ‘アレンジイ’
秋深まるころ、青紫色の花を咲かせます。草丈は150~200㎝程度なので、花壇の中盤~後方に植えるとよいでしょう。少し傾きやすいこともあるので、添え木の支柱が必要な場合もあります。紅葉やグラスの穂などとの相性は抜群です。この季節は庭全体が赤や黄色、オレンジ、茶色に染まります。その中で、ほんの少しだけ、こんな感じの色があると、「お」ってなりますね。秋に開花する貴重な宿根草です。イコロでは元気に育ちますが、千歳のお客さんの庭では二年連続で何かに食べられたように上半分がなくなっており、花を楽しむことができませんでした。原因はまだ分かりません。
(写真:イコロの森 レストランガーデン/2017.10.16)
アコニツム属は全草(根茎葉など)に毒性がありますので、くれぐれも口にしないよう注意しなければなりません。さて、この件について、クリストファー・ロイドは著書「Garden Flowers」にて、いかにもイギリス人らしいエッジの効いた文章で書いています。この本、たびたびこのブログでも触れているかもしれませんが、いわゆる事典的なお堅い感じでなく、あくまでクリストファーの視点、主観で植物の解説がされているので、植物を通してクリストファーの人物像を想像できて、それぞれの植物に対する興味や見方も変わりますよ。英語の勉強にもなりますから、興味のある方は読んでみてね。(ISBN 1-84188-124-4)
三連休初日は、生温い空気の朝から始まりました。なんか妙な暖かさでしたが、雨も降りだし、あいにくの天気です。
紅葉が始まったイコロの森は、雨がしとしと、大変静かな土曜日であります。
さて、明日はいよいよ最後のマルヤマクラス講習会であります。
球根の植え方、育て方をお話しします。まだ席が開いておりますので、飛び入り参加もOKです。
ご参加された方は球根を割引価格にてご購入いただけますので、ぜひ。
各地で出店していると良く聞かれるのが、水栽培について。
やはり、良くやられるのはヒヤシンスでしょう。スイセンもよいですね。
香りが良い花なので、あえて部屋に飾るのならいいかなと思います。
あまりにも聞かれるので、いま、自宅で実験中です。
ジャムの瓶に水を張ってセット完了のヒヤシンスをそのまま冷蔵庫に入れたものと、
球根をジップロックに入れて野菜室で保管しているものがあります。
同じタイミングで冷蔵庫に入れたので、同じタイミングで出して、開花までの様子をみてみようかなと。
また、スイセンは、冷やす期間をずらしてみようかなと思って、只今一個だけ、冷やしてます。
10日後と20日後にひとつずつ追加して、同じタイミングで冷蔵庫から出して、どんなもんか見てみようかと思います。
結果と考察はまた、今度。
来年の接客時に活かしたいと思います。
ひとまず、明日、マルヤマクラスでお待ちしております!
全ての宿根草が、太陽に向かっているように見えます。今日の朝はこれまた最高のガーデンでした。
この時間、この角度で朝陽が射しこむように設計されているボーダー。空間を仕切る生垣も、その感動を凝縮させている気がします。庭の設計は奥が深いです。
アスティルベやエキノプス、エキナケアのシードヘッドもそれぞれ開花期を過ぎても活躍してます。ベニカエデの紅葉も始まって、やはりこの季節にしか味わえない空気感ですね。
今日から10月に入り、今シーズンも残り一カ月。まだまだ、イコロの見ごろは続きますから、ぜひ遊びに来てください。
今日は札幌にて、今シーズン初の球根植え込み(講習除く)しました。
花壇のデザインによりますが、ここでは球根を整列させないで、適当に配置します。チューリップのような大きな球根は、とりあえず植えたいエリアに立って、ぽーんと餅を投げるように撒きます。ほぼ1㎡程のエリアに10球。これくらいは植えたいですね。インパクトが大事ですから。撒いた球根はそのまま、落ちた場所からずらさずに植えます。たまに、眺めてイメージして、調整することもあります。植える深さは球根サイズの2~3倍。
ちなみにこの球根はチューリップ ‘クリスマス・ドリーム’。 ピンク色のチューリップです。この花壇はブルーと白、シルバーを基調としていて、それらに合わせるようにポイントで黄色とか赤とかを各シーズンで入れているのですが、このピンクのチューリップもその役割です。ブルーグレーのグラスはHelictotrichon sempervirens(ヘリクトトリコン センペルウィレンス)。常緑の魅力的な葉のなかから、明るい色のチューリップが咲いたら、コントラストもはっきり、いい感じになるんじゃないでしょうかね。楽しみ。
そして、スイセン ‘テータテート’。これは、花束みたいにまとまってボンと出ている様子もよいので、チューリップよりももっと狭いエリアに、でもあくまでも自然風を装いたいので、これも目当ての場所に立って上からボトっと落とします。多少ころがってちょっと散らばる、くらいがよいでしょう。これで6-7球はありますかね。こんな塊を、ランダムに花壇に数か所作ります。球根の数は適当。多いところや少ないところがありますよ。
ちなみに、右上の板はふかふかの土を踏んで固めないように。団粒構造がつぶれますからね。また、こうすることで、花壇の外の舗装されているエリアを汚さずに済みますから、掃除も楽になりますよ。この方法、ディクスターでどんだけ大事か、何度も教わりました。板を運んだり、置く場所を考えたりは面倒だな、と思うこともありますし、なれないと意外と大変ですが、土はとても大切ですので。でもこのお客様の家では、僕がお世話になる前から、ずっとこの方法でやっていたんですよ。いろんなサイズの板が置いてあって、大変便利そうです。もちろん、そんな花壇で出来た花や野菜はまるでプロのようです。リスペクトですよ。
スノードロップのような、小さな球根は、ばらまいてしまうと見失うこともありますので慎重にやります。イコロの森では、10球セットでネットに入れて販売しておりますので、こんな感じで、袋ごとばらまきました。袋に入っていない場合は、適当な数量の球根を入れたビニールポットをランダムにおいて、それを一つ一つ目の届く範囲でバラまきながら植え込みます。スノードロップは花も小さいですから、範囲を絞って、まとめて植えた方が効果的でしょう。とりあえずここでは30球。来年また増やしてもいいですね。なにしろ、雪が解けると同時に咲きますので、花壇全体にあっても邪魔にはならないです。
ということで、「球根の配置の仕方」でした。花壇のデザインに応じて、効果的な配置を考えましょう。整列させる方がいいっていう場面ではそうしてくださいね。数か月先をイメージしながらの作業は楽しいですが、球根の植え込みはまさにそんな楽しい作業ですね。
今年は、冬に一年草や野菜、宿根草の種を輸入し、播種を依頼して芽が出たところでイコロに持ち帰り、プリッキングアウト(ポットに植え替える)をして育てるという、我々にとっては新しい方法での生産を試みました。播種から発芽までに必要な温度や日照はそれぞれだし、発芽してからの管理方法も実にさまざまあり、種類ごとにきめ細かい管理をいきわたらせるというのは難しいなと感じました。特に野菜苗については、出店したイベントで隣の農家さんとかに聞くと、ぜんぜん想像してなかった方法で育苗しているらしく、そう簡単に手を出せるものでもないなー、と思いました。それでもうまく育つものもあるわけで、僕たちにあった方法で育つ種類を選別して、効率的に行えればいいのかな、という風には思っております。そんな形でそろったラインナップが僕たちらしい品ぞろえになるのかな、と思います。
ところで、イコロの森のガーデンで育つ宿根草の中には、かつて輸入していたが、今は探してもなかなか見つからない種類も結構あって、そういう種類に限ってもう一回育ててみたいな、と思うわけですが、そのうちの一つが、ホスタ ‘ホワイト・トライアンフェイター’ Hosta ‘White Triumphator’です。僕のガーデンツアーを聞いている人は、しょっちゅう聞いているかもしれませんが、きれいな立ち姿で、真っ白の花が咲く大変魅力的なホスタです。
Hosta ‘White Triumphator’ のシードヘッド(2017.09.26)
株が大きくなったら株分けして増やそうと思っていますが、どうしてか、他のホスタに比べると、そこまでぐいぐい大きくならないので、今年はいよいよ種をとってみることにしましたよ。大量に種は採取することが出来ましたので、播くのがたのしみです。そして、ちゃんと育って皆さんにお届けできるといいな、と思っています。すこし時間はかかるでしょうが、おたのしみに。おすすめのホスタですから。
PLANT OF THE DAY42
Symphyotrichum novae-angliae ‘Herbstschnee’ ネバリノギク ‘ヘルブストシュネー’
ネバリノギクの白花の品種です。sachiさんが参戦するまで、品種名も「母国語の発音が不明な場合はラテン語の発音で」というルールにのっとり、「ヘルブストクネエ」と呼んでおり、日本語的に考えちゃうとなんか奇妙だなとは思いつつ、特に掘り下げることもなく来ましたが、これはドイツ語で「秋の雪」という意味だそうですよ。弊社においては、発音も晴れてドイツ語風に直された、というわけです。まさに、秋の雪のように、本当にたくさんの花が一気に開花する様子は大変美しいです。秋の庭の主役、シンフィオトリクム(アスター)は、ぜひ取り入れていただきたいと思います。ただし、すでに北海道の多くの場所で定着しているのがみられ、毎年きれいだなと思ってみておりますが、ガーデンに取り入れる際は、自分の庭の外に増えないようにしっかり管理していただきたいなと思います。でも、やっぱいいですよね。秋の雪ですよ。名前の意味を知ると余計良いです。(写真:イコロの森 ホワイトガーデン/2017.09.26)
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