秋の庭はカラフルでまぶしいな、と改めて思った今日の朝でした。
PLANT OF THE DAY 45
Rubus phoenicolasius エビガライチゴ
キイチゴ属。北海道の山でも見られる(らしい)、エビガライチゴ。レストランガーデンだし、ということで果樹を集めていたときに頂いたものです。夏にはかわいい実がなり、園路沿いのため、お客さんもつまんでいるようです。ちょっと種の存在感が気になりますが、まあまあ食べられます。甘さは控えめです。ジャムなどにするのも良いかもしれません。
落葉低木で、伸びた枝が地面にふれたところで発根してどんどん増えてしまうので、常に気を使っていますが、アーチ状に伸びるこの枝が好きです。花が咲き、実をつけた枝は茶色くて少し汚い印象もあり、来年は実をつけないので、今年伸びたシュートだけ残して全て切り去ります。すると、このように瑞々しい赤茶色の枝だけが残ってすっきり。葉が落ちてからもしばらく赤い枝を観賞できますね。キイチゴ属ですから、とげがいっぱい。本来ならこういう庭園で園路沿いに植えるべきではないかもしれません。ごめんなさい。ご注意ください。でも、実がなったときに皆さんがすぐ見つけてくれるので、嬉しいです。また、となりのスコッツローズも大好きなのですが、どうしてもこのエビガライチゴの勢いに圧されてしまうので、株を減らすべきではないかと検討中ではあります。(写真:イコロの森 レストランガーデン/2017.10.18)
本格的な寒さとなり、事務所(イコロハウス裏)では昨晩よりとうとうストーブがつきました。日中は、陽射しがあれば外の方が断然暖かく、イコロハウス内はオールシーズン、やや冷えております。夏は、「あ、すずしい」とガーデン散策から帰ってきた方の声が聞こえることも多いです。
そんな、イコロハウスから眺める秋の庭は、室内の冷えと相反し、オレンジ色のあたたかみのある風景です。モミジの紅葉もピーク。地面には落ち葉の絨毯ができています。園路上の落ち葉でさえ、「踏んでしまうのがかわいそう」とお客さんも言っておりました。
落ち葉の間からのぞくフッキソウの緑も良い感じ。このままにしておくと、春に残念なことになるので、積雪前にそうじをしなくてはいけませんが、しばらくこのまま楽しみましょう。このように木から落ちてからの姿もよいですねえ。桜が散って、川面を流れる風景もそうですが、こういうのに何かしら感じるというのは、日本人的なのかもしれんと思います。留学中、落ち葉の写真を撮っていたら、「日本人は‘死んだ葉っぱ’(Dead Leaves)が好きだな」と言われたのを思い出します。まあ、イギリス人も「Autumn Colour(秋の紅葉)」は楽しんでいましたので、ちょっとしたユーモアなのでしょう。話しはそれますが、作業中に何かが木から落ちた音がしたことがあって、その時の現場のボス(その名もミスター・ビーン)が「Squirrel’s suicide.(リスの自殺だ。)」とつぶやいたのもおもしろかったです。イギリスだなあ。。。
PLANT OF THE DAY 44
Aconitum carmichaelii ‘Arendsii’ アコニツム カルミカエリイ ‘アレンジイ’
秋深まるころ、青紫色の花を咲かせます。草丈は150~200㎝程度なので、花壇の中盤~後方に植えるとよいでしょう。少し傾きやすいこともあるので、添え木の支柱が必要な場合もあります。紅葉やグラスの穂などとの相性は抜群です。この季節は庭全体が赤や黄色、オレンジ、茶色に染まります。その中で、ほんの少しだけ、こんな感じの色があると、「お」ってなりますね。秋に開花する貴重な宿根草です。イコロでは元気に育ちますが、千歳のお客さんの庭では二年連続で何かに食べられたように上半分がなくなっており、花を楽しむことができませんでした。原因はまだ分かりません。
(写真:イコロの森 レストランガーデン/2017.10.16)
アコニツム属は全草(根茎葉など)に毒性がありますので、くれぐれも口にしないよう注意しなければなりません。さて、この件について、クリストファー・ロイドは著書「Garden Flowers」にて、いかにもイギリス人らしいエッジの効いた文章で書いています。この本、たびたびこのブログでも触れているかもしれませんが、いわゆる事典的なお堅い感じでなく、あくまでクリストファーの視点、主観で植物の解説がされているので、植物を通してクリストファーの人物像を想像できて、それぞれの植物に対する興味や見方も変わりますよ。英語の勉強にもなりますから、興味のある方は読んでみてね。(ISBN 1-84188-124-4)
週末は良い天気となりまして、イコロで紅葉狩りを楽しんでいただけたと思います。
僕は豊平公園と苫小牧のお庭で作業あり、朝に少しだけ、楽しみました。
昨日も今日もよかったです。
しかし、イコロは車で15分程度しか離れていない苫小牧の住宅街よりも、随分寒く、驚きましたよ。
PLANT OF THE DAY 43
Symphyotrichum lateriflorum var. horizontalis シンフィオトリクム ラテリフロルム ホリゾンタリス
アスターの中でも後半に見ごろを迎える種類です。直径1センチ程度の細かな花がたくさん咲くのが魅力で、これが秋の陽に大変よく合います。小さくキラキラと光る様子は目を引きます。が、豊平公園では、これでもかってくらいにたくさんの花がみっちみちにさいてました。いやあ、びっくり。でも、札幌で良い土でやるとこれくらいになるのかな。他の場所でもぜひやってみたいです。ディクスターでは、ピーコックガーデンで生垣のように植えられていました。宿根草なので、夏以降限定にはなりますが、茎や葉もみっちりこんもり茂るので、ヘッジ利用も良いなと思いますが、その場合は、前半(春から初夏にかけて)なにか別の植物があるとなお良いかもしれないですね。大変人気で、今シーズンは完売しておりますが、来年また入荷予定です。ぜひ、ラインナップに加えてください。秋の最後まで楽しめますよ!
(写真:豊平公園/2017.10.14)
今年は、冬に一年草や野菜、宿根草の種を輸入し、播種を依頼して芽が出たところでイコロに持ち帰り、プリッキングアウト(ポットに植え替える)をして育てるという、我々にとっては新しい方法での生産を試みました。播種から発芽までに必要な温度や日照はそれぞれだし、発芽してからの管理方法も実にさまざまあり、種類ごとにきめ細かい管理をいきわたらせるというのは難しいなと感じました。特に野菜苗については、出店したイベントで隣の農家さんとかに聞くと、ぜんぜん想像してなかった方法で育苗しているらしく、そう簡単に手を出せるものでもないなー、と思いました。それでもうまく育つものもあるわけで、僕たちにあった方法で育つ種類を選別して、効率的に行えればいいのかな、という風には思っております。そんな形でそろったラインナップが僕たちらしい品ぞろえになるのかな、と思います。
ところで、イコロの森のガーデンで育つ宿根草の中には、かつて輸入していたが、今は探してもなかなか見つからない種類も結構あって、そういう種類に限ってもう一回育ててみたいな、と思うわけですが、そのうちの一つが、ホスタ ‘ホワイト・トライアンフェイター’ Hosta ‘White Triumphator’です。僕のガーデンツアーを聞いている人は、しょっちゅう聞いているかもしれませんが、きれいな立ち姿で、真っ白の花が咲く大変魅力的なホスタです。
Hosta ‘White Triumphator’ のシードヘッド(2017.09.26)
株が大きくなったら株分けして増やそうと思っていますが、どうしてか、他のホスタに比べると、そこまでぐいぐい大きくならないので、今年はいよいよ種をとってみることにしましたよ。大量に種は採取することが出来ましたので、播くのがたのしみです。そして、ちゃんと育って皆さんにお届けできるといいな、と思っています。すこし時間はかかるでしょうが、おたのしみに。おすすめのホスタですから。
PLANT OF THE DAY42
Symphyotrichum novae-angliae ‘Herbstschnee’ ネバリノギク ‘ヘルブストシュネー’
ネバリノギクの白花の品種です。sachiさんが参戦するまで、品種名も「母国語の発音が不明な場合はラテン語の発音で」というルールにのっとり、「ヘルブストクネエ」と呼んでおり、日本語的に考えちゃうとなんか奇妙だなとは思いつつ、特に掘り下げることもなく来ましたが、これはドイツ語で「秋の雪」という意味だそうですよ。弊社においては、発音も晴れてドイツ語風に直された、というわけです。まさに、秋の雪のように、本当にたくさんの花が一気に開花する様子は大変美しいです。秋の庭の主役、シンフィオトリクム(アスター)は、ぜひ取り入れていただきたいと思います。ただし、すでに北海道の多くの場所で定着しているのがみられ、毎年きれいだなと思ってみておりますが、ガーデンに取り入れる際は、自分の庭の外に増えないようにしっかり管理していただきたいなと思います。でも、やっぱいいですよね。秋の雪ですよ。名前の意味を知ると余計良いです。(写真:イコロの森 ホワイトガーデン/2017.09.26)
オンラインストアでも販売中です。
昨日はすごい雨でしたね。
朝はすっかり晴れていて、いつもの気持ちの良い通勤路。
こりゃ朝日を浴びるガーデンもきれいだろうとガーデンに入ったところ、実にきれいでした。少しまぶしかったくらいで。
Descampsia cespitosa デスカンプシア ケスピトサ
ポプラの木の下のデスカンプシアが輝いてます。
ただ、昨日の雨のせいで、落ち葉やら、倒れた宿根草やらが多くて、その後ひさびさにメンテ作業にはいりました。
倒れた宿根草のいくつか(ほんとにほんの少しですが)を、支柱をたてて起こす時、以前ディクスターでちらっとならったしばり方を実践してみようと思い立ちまして、同じく修業していた方の記事が載っていた「花新聞」を引っ張り出し、コピーした紙をもってガーデンに出て挑戦しました。色々あって、結果、その方法と日本で習った方法をミックスさせた、画期的な自分なりのしばり方をあみ出したのであります。素晴らしい。たぶん、いい感じ。今度どこかでお披露目しようと思っております。来年の講習とかかな。
PLANT OF THE DAY 41
Camassia leichtlinii ‘Sacajawea’ カマッシア レイクトリニイ ‘サカジャウィア’
写真の左側に写っている斑入りの葉が、今日ご紹介するカマッシア ‘サカジャウィア’です。カマッシアは5月下旬から6月上旬にかけて総状花序(ジギタリスのような形の花房)になって花を咲かせます。青い花のカマッシア クシキイ(Camassia cusickii)が定番ですね。‘サカジャウィア’は白花品種で、昨年初めてイコロに導入。花よりも斑入りの葉が美しく、このポットディスプレイの時も大人気でした。斑入りの葉は、かっちりしていて草姿も大変決まっておりました。庭で植えるのもよいですが、カラーリーフをこうやってポットで楽しむのも良いでしょうね。カマッシアは概ね強健で手間いらず。植えた球根もそのまま植えっぱなしで毎年元気に出てきます。昨年初めて導入したこの‘サカジャウィア’もおそらく大丈夫でしょう。来年が2年目なんでね。まだ未確認ではあります。(写真:イコロの森 ポットディスプレイ/2017.05.07)
ちなみに、同じ白花品種カマッシア ‘アルバ’ Camassia leichtlinii ‘Alba‘もいいですよ。咲き始めのおしべのピンクがかった薄紫が花弁の白を背景にしてよく目立ち、すごくきれいです。春らしいです。
(写真:風樹庭<施工:イコロの森>/2017.06.11)
上記二品種とも、オンラインストアにて購入可能です!